背もたれが座面から47.5cm立ち上がるウィンザーチェアと、30.0cmのウィンザーチェアを並べた河口家具製作所の実写

ウィンザーチェアとは?背もたれの形で座り心地が変わる理由と選び方

チェア

オンラインショップで木の椅子を眺めていると、商品名に「ウィンザーチェア」と書かれた一脚に行き当たります。隣に並ぶ椅子と、写真ではさほど違って見えません。木の脚に、木の座面。それでも名前だけが違います。

分からないのは、情報が足りないからではないでしょう。名前のつけ方が椅子ごとに違うからです。同じ売り場に「ペーパーコードチェア」「回転チェア」「アームチェア」が並んでいます。ペーパーコードは座面の素材、回転は機能、アームは肘掛けの有無。そのなかで「ウィンザー」だけが、背もたれの作り方を指しています。物差しがそろっていないまま並んでいるのですね。

河口家具製作所は1959年創業、福岡県大川市の家具メーカーです。オンラインショップのダイニングチェア売り場には37点が並んでいます。この記事では、その37点の材質欄と寸法欄を1点ずつ確認し、背もたれの高さを計算して並べ直しました。もとにしたのは2026年8月30日時点の商品ページです。

先に結論を書きます。売り場で見るのは2つだけです。棒の上端をどう押さえているか。そして、座面から何cm立ち上がっているか。37点の背もたれの高さは25.5cmから47.5cmまで開いていて、その最高値がウィンザーチェアの一脚でした。

実物の背の形は、河口家具製作所オンラインショップのダイニングチェア一覧で並べて見られます。開いてから読み進めてみてください。

ウィンザーチェアとは?背板ではなく細い棒を並べた椅子

ウィンザーチェアとは、背もたれを1枚の板ではなく、細い棒を並べてつくった木の椅子を指す呼び名です。

その棒は「スピンドル」と呼ばれます。背もたれのところに、細い丸棒が何本も縦に並ぶ。あの形のことですね。

発祥や年代の話は、この記事では扱いません。売り場で判断するのに要らないからです。必要なのは、背もたれを見たときに板か棒かを見分けられること。それだけで、この名前は読み解けるでしょう。

名前が指しているのは素材でも機能でもなく「背の作り」

売り場の名前を並べてみると、指しているものがそれぞれ違います。

  • ペーパーコードチェア:座面に使う素材の名前
  • 回転チェア:座面が回るという機能の名前
  • アームチェア:肘掛けがあるかどうかの名前
  • ウィンザーチェア:背もたれの作り方の名前

4つとも「チェア」で終わりますが、決めているものは別々です。だから「ウィンザーチェアとペーパーコードチェア、どちらがいいか」という比べ方は、そもそも成り立ちません。座面の素材と背の作りを、同じ土俵に乗せているからですね。

ダイニングチェア37点のうち、商品名に「ウィンザーチェア」と入るのは2点でした。

座面が木のままの椅子は37点中3点

ウィンザーチェアが入るマスを示した分類図。ダイニングチェア37点の座面は張り座21点・ペーパーコード12点・木のまま3点・樹脂1点
河口家具製作所のダイニングチェア37点を座面の作りで分けると、木のままはわずか3点。そのうち2点がウィンザーチェアのTansyとThymeです。

材質欄を1点ずつ読むと、座面の作りは4つに分かれます(2026年8月30日時点の37点)。

  • 張り座(合成皮革・ファブリック・コーデュロイ・本革・ポリエステル):21点
  • ペーパーコード編み:12点
  • 木のまま(材質欄に張地もペーパーコードも書かれていない):3点
  • 樹脂(ポリプロピレン):1点

木のまま3点のうち、2点がウィンザーチェアです。板のままの座面は、この売り場では少数派ということになるでしょう。

板の座面で起きることは、はっきりしています。体重をかけても沈みません。汚れは拭き取れます。布を張った座面のような毛玉も出ません。そのかわり、柔らかさはありませんね。

腰を下ろした瞬間の当たりは、張った座面より硬く感じるでしょう。ただ、沈まないぶん姿勢は保ちやすくなりますね。座り直しの回数が減るという意味では、長い食事にも向いているかもしれません。

なぜ座り心地が変わるのか(背中の支え方と抜け感)

背もたれの座り心地とは、背中のどこを、どれくらいの面積で支えるかによって決まるものです。

1枚の板でつくられた背は、面で背中を受け止めます。細い棒を並べた背は、線で受け止めます。棒と棒のあいだが空いているぶん、背中に触れている面積は小さくなりますね。

面積が小さいと、当たりは強くなります。同じ体重が、狭い場所に集まるからでしょう。ただ、当たる場所が数本に分かれているぶん、体を少しずらしたときの逃げ場は残るでしょう。板の背だと、ずらしても当たり方はあまり変わりません。

もうひとつ、棒の背には抜けがあります。背もたれの向こうが見える。座り心地の話であると同時に、部屋の見え方の話でもあるでしょう。

同じ幅と奥行きを取っていても、背が詰まっている椅子と抜けている椅子では、部屋の詰まり方が変わってくるでしょう。食卓に4脚並べるなら、その差は4脚ぶんになりますね。

背もたれの角度は、商品ページに書かれていません。数字が無いものを推測で語るより、記載のある高さから読むほうが確かでしょう。ウィンザーチェアの2点でいうと、背もたれの高さは30.0cmと47.5cm。低いほうは腰から背中の下側までを支え、高いほうは肩の近くまで届きます。同じ名前でも、当たる場所が違うのです。

板ではなく布や革を張った座面を選ぶなら、判断の材料は別のものに変わります。通気性、すべりやすさ、汚れの落とし方。板座の話とは分けて考えるほうが決めやすいでしょう。

スピンドル・ボウ・コムバック|背もたれの形を表す呼び名

ウィンザーチェア2点の背もたれの高さを数直線に並べた分布図。Tansyは30.0cm、Thymeは47.5cmで17.5cm違う
全体の高さから床から座面までの高さを引くと、36点は25.5cmから47.5cmに分かれます。最高値のThymeは2番目の39.5cmから8.0cm離れた位置にあります。

スピンドルとは、背もたれに並ぶ細い丸棒のことです。

棒を並べた背を持つ椅子を、まとめて「スピンドルチェア」と呼ぶことがあります。ウィンザーチェアとほぼ同じものを指して使われる場面も多いですね。

棒だけでは背もたれになりません。上端をどこかで押さえる必要があります。その押さえ方に、いくつかの呼び名がついています。

  • ボウバック:弧を描く1本の材で、棒の上端を輪のように受ける形。ボウは弓のこと
  • コムバック:水平に近い1本の笠木で、棒の上端を受ける形。櫛(コム)に見立てた呼び名

「ボウバックチェア」「コムバックチェア」という呼び方を見かけることもありますね。ただ、この呼び名は売り場によって揺れます。商品ページに様式名まで書かれていないことも多いでしょう。名前を覚えるより、実物の上端を見るほうが早道ですね。

この2点は、商品ページの写真で上端の押さえ方を確かめられます。

Thymeは、弧を描く1本の材が輪をつくり、その内側に棒が並ぶ形です。全体の高さは91cm、床から座面までが43.5cm。差し引くと、背もたれは座面から47.5cm立ち上がっていることになります。

Tansyは、水平に近い笠木が上端を押さえ、両端が前へ回り込む形です。全体の高さは72cm、座面までが42cm。背もたれは座面から30.0cmですね。

この47.5cmが、どれくらい高いのか。売り場の数字と並べてみます。

全体の高さと座面の高さが両方書かれているのは36点でした。そこから背もたれの高さを出すと、いちばん低いのが25.5cm、いちばん高いのが47.5cm。最高値はThymeです。2番目に高い一脚は39.5cmなので、8.0cmの差がありました。

一方のTansyは30.0cmで、36点のなかでは低い側に入ります。同じ「ウィンザーチェア」を名乗る2点で、背もたれの高さは17.5cm違うのです。名前は、形も高さも決めてくれません。

なお、Tansyの笠木は両端で前へ回り込みますが、商品ページに肘掛けの記載はありません。肘掛けがあるかどうかで椅子を選びたい場合は、別の記事のほうが近いでしょう。ダイニングのアームチェアは必要?肘掛け付きの後悔しない選び方とメリットに判断の材料をまとめています。

どんな部屋・どんなテーブルに合うか

椅子とテーブルの相性とは、天板の高さと座面の高さの関係、そして椅子が床に取る前後の幅で決まるものです。

まず座面の高さから見ます。Tansyが42cm、Thymeが43.5cm。売り場のダイニングチェアで座面の高さが書かれている36点は、42cmから45.5cmに収まっていました。2点とも、その帯の下側にあたりますね。

手持ちのテーブルに合うかどうかは、天板の高さとの関係で決まります。測り方と考え方は、ダイニングテーブルの高さ選び|一般的な目安・椅子との差尺・身長別の選び方にまとめてあります。天板の高さがまだ決まっていない段階なら、先にそちらへ進むほうが早いかもしれません。

次に、部屋の見え方です。背の高さは、座る人より部屋のほうに効いてくるでしょう。

背もたれが47.5cm立ち上がる椅子を4脚並べると、食卓の向こう側は見えにくくなります。対面キッチンから食卓を見る間取りなら、その壁が視界に入り続けるでしょう。

背もたれ30.0cmの一脚なら、天板の向こうが抜けます。ワンルームや、リビングと地続きの食卓では、この抜けが効いてくるかもしれません。逆に部屋の広い家では、背の高い椅子のほうが食卓の輪郭をつくってくれますね。

床に取る前後の幅も見ておきます。Tansyは奥行き49.5cm、Thymeは54cm。売り場のダイニングチェア37点は48cmから60.5cmですから、Tansyは浅い側です。テーブルの下へ納めたときの収まりに差が出てくるでしょう。

重さはどちらも5kg、耐荷重は80kgと記載されています。5kgなら、掃除のときに片手で持ち上げられる範囲でしょう。届いたあとの手間も違います。Tansyは完成品、Thymeは組み立てが必要で、六角レンチが付属します。

食卓ではなく、リビングでくつろぐための一脚を探している場合は、物差しがまた変わってくるでしょう。座る時間が長くなるほど、背の形より奥行きが効いてくるからです。

立ち座りのしやすさから決めたい場合は、機能で解く方法もあります。回転式ダイニングチェアは本当に便利?メリット・デメリット・選び方を解説に、回転する椅子の向き不向きを整理しました。

河口家具製作所のウィンザーチェア

河口家具製作所のウィンザーチェアとは、木の座面に細い棒の背もたれを組み合わせた2点のダイニングチェアです。

順位はつけません。背の高さが違うので、比べる相手というより別の選択肢だからです。商品ページの記載をそのまま並べます。

  • 【Tansy】ウィンザーチェア【4色】。幅52×奥行49.5×高さ72cm、床から座面までの高さ42cm。材質は天然木(アッシュ)とウレタン塗装。重量5kg、耐荷重80kg、完成品。28,050円。生産国はベトナムと記載されています。カラーはグレージュ、ナチュラル、ブラウン、ブラックの4色
  • 【Thyme】ウィンザーチェア【4色】。幅47×奥行54×高さ91cm、床から座面までの高さ43.5cm。材質は天然木(ラバーウッド)とウレタン塗装。重量5kg、耐荷重80kg、組み立てが必要で六角レンチが付属します。30,250円。生産国はベトナム。カラーは同じ4色

どちらの材質欄にも、張地の記載はありません。座面は木のままです。

樹種は分かれています。Tansyがアッシュ、Thymeがラバーウッド。2026年8月30日時点で、イスの売り場51点の材質欄を数えてみました。

アッシュを使う一脚が28点、オークが5点、パインが2点。ラバーウッドは1点だけです。なお、1点だけオークとアッシュを併せて使っています。ラバーウッドの一脚は、この売り場ではThymeだけということになりますね。

色は4色とも共通です。グレージュ、ナチュラル、ブラウン、ブラック。形も寸法も変わらないまま木部の色だけが動くので、部屋の側から選び直せますね。

産地についても、先にお伝えしておきます。この2点の生産国は、商品ページにどちらもベトナムと記載されています。河口家具製作所は1959年の創業から、福岡県大川市で家具づくりに携わってきました。ただ、この2点を自社の工場でつくっているわけではありません。産地を含めて、記載どおりにお伝えします。

食卓にもう1脚だけ足したいだけなら、背もたれのない一脚という手もあります。使わないときに隅へ寄せられるぶん、部屋の使い方が変わってくるでしょう。

よくある質問

ウィンザーチェアとはどんな椅子ですか

背もたれを1枚の板ではなく、細い棒を並べてつくった木の椅子を指す呼び名です。その棒はスピンドルと呼ばれます。座面も木のままであることが多く、紹介した2点にも材質欄に張地の記載がありません。素材や機能ではなく、背もたれの作り方を指す名前だと考えると輪郭がつかみやすいでしょう。

ウィンザーチェアの座面は硬いですか。クッションは敷けますか

木の座面なので、布や革を張った座面より硬く感じます。そのかわり体重をかけても沈まないため、姿勢は保ちやすくなりますね。座布団やシートクッションを置いて使うこともできます。ただし商品ページには、座面だけの寸法や専用クッションの記載がありません。手持ちのものを合わせるなら、実物で確かめることになるでしょう。

スピンドルチェアとウィンザーチェアは違うものですか

厳密に線を引くより、重なりの大きい呼び名だと考えるほうが実用的です。スピンドルは背もたれに並ぶ細い丸棒そのものを指し、その棒を使った背を持つ椅子がスピンドルチェアと呼ばれます。ウィンザーチェアも同じく棒を並べた背を持ちます。呼び名は売り場によって揺れるため、商品ページの写真で上端の押さえ方を見るほうが確実でしょう。

ウィンザーチェアの背もたれは高いほうと低いほうのどちらを選べばいいですか

部屋の見え方から決めると迷いにくいです。この記事で見た2点では、背もたれが座面から30.0cm立ち上がる一脚と、47.5cm立ち上がる一脚があります。食卓の向こうを抜けさせたいなら低いほう、食卓の輪郭をはっきりさせたいなら高いほうですね。座る時間の長さより、部屋の広さと視線の通り方で決めるほうが失敗しにくいでしょう。

河口家具製作所のウィンザーチェアはどこでつくられていますか

商品ページの生産国欄には、2点ともベトナムと記載されています。河口家具製作所の自社工場でつくっているものではないため、産地は商品ページの記載どおりにお伝えします。

まとめ|名前ではなく、上端の押さえ方と背の高さを見る

決める順番を振り返ります。

  • 背もたれが板か、細い棒かを見る。棒ならウィンザーチェアと呼ばれる形
  • 棒の上端をどう押さえているかを見る。弧を描く1本の材か、水平に近い笠木か
  • 背もたれの高さを計算する。全体の高さから、床から座面までの高さを引く
  • 出た数字を部屋に当てる。抜けが欲しいなら低い側、輪郭が欲しいなら高い側

河口家具製作所のダイニングチェア37点では、背もたれの高さが25.5cmから47.5cmまで開いていました。数えたのは2026年8月30日時点の商品ページです。数字はこの売り場での話ですが、全体の高さから座面の高さを引くという手順は、どの商品ページでもそのまま使えるでしょう。

「ウィンザーチェア」という名前は、その椅子が何のためにつくられたかまでは教えてくれません。教えてくれるのは、背もたれをどう組んだかという一点だけ。だから名前で決めきれなかったのは、当然のことだったのですね。

夕方、食卓に西日が差し込む時間。細い棒のあいだを光が抜けて、床に細い影が並びます。誰も座っていない時間の姿まで含めて選べるのが、背もたれの形という物差しなのでしょう。

河口家具製作所について

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