オンラインショップのダイニングチェアを「ナチュラル」で絞り込むと、似た色のイスがずらりと並びます。どれも木の色は明るく、どれも自分の家に合いそうに見えるでしょう。ところが一脚に決めようとすると、そこで手が止まりますね。
ショールームへ行けなければ、判断の材料は画面の写真だけになります。写真の明るさは撮り方でいくらでも変わるもの。並べて見比べても、どれが自分の家の床に合うのかは決まりません。
決まらないのは、選択肢が多いからではないでしょう。「ナチュラル」が塗装の色名であって、樹種の名前ではないからです。同じ色名がついていても、下の木が違えば見え方は違ってきます。色名を並べた時点で、そもそも比較になっていないのです。
河口家具製作所は1959年創業、福岡県大川市の家具メーカーです。オンラインショップのイスの売り場には52点、そのうちダイニングチェアには38点が並んでいます。この記事で挙げる商品の樹種・塗装・寸法・価格・生産国は、商品ページの記載をそのまま使います。
先に決めるのはチェアの色ではありません。床の明るさです。床が決まれば選べる木の色の範囲が決まり、テーブルとの関係が決まり、最後に張地の色が決まります。読み終えるころには、自分の家の条件で絞った方向が1つ残っているはずですね。
実物の木の色を並べて確かめたい方は、河口家具製作所オンラインショップのダイニングチェア一覧をご覧ください。
目次
「ナチュラル」と言っても木の色は一つではない

ナチュラルとは、木そのものの色を生かした塗装の色名です。樹種の名前ではありません。
「ナチュラル」は塗装の色名で、樹種の名前ではない
商品ページを開くと、この違いがそのまま書かれています。
【KT】アームチェア【ナチュラル】の材質欄は、木部がアッシュ材、塗装がウレタン塗装(ナチュラル色)。いっぽうスツールチェア【ナチュラル/ブラウン】は、天然木(オーク)にウレタン塗装と記載されています。色名はどちらもナチュラル。けれど下の木は別物です。
同じ商品のなかで色名だけが分かれることもあります。スツールチェアはナチュラルとブラウンの2色。形も寸法も同じで、商品ページの記載で変わるのはカラーの表記だけです。
「ナチュラル」は木の種類ではなく、仕上げの色を指す言葉。そう理解しておくと、一覧の見え方が変わってきますね。
木の色を見分ける3つの物差し
色名で比べられないなら、何で比べるか。3つに分けると見通しがよくなります。
- 明るさ。白に近いか、黄色に寄っているか
- 赤みの有無。同じ明るさでも、赤みが入ると木が近くに見えます
- 木目の主張。模様がはっきり出るか、おとなしいか
このうち明るさは、写真ではあまり当てになりません。撮影の光と加工で簡単に変わってしまうからです。画面越しに比べるなら、赤みの有無と木目の主張の2つを見るほうが確かでしょう。
オーク・アッシュ・ラバーウッド|売り場で実際に選べる3つの樹種
イスの売り場の商品ページを開き、材質欄を1点ずつ確かめます。木の名前として出てくるのは4つです。いちばん多いのがアッシュで28点、次がオークの5点、ラバーウッドが1点、そしてスツールに使われているパインが2点。パインの2点だけは仕上げがオイルと記載されていて、この記事が扱うウレタン塗装のナチュラル色とは別の仕上げになります。ここから先は、チェアで選べる3つを見ていきますね。
オークは、木目がはっきり出る傾向のある木です。板の面積が大きいほど、模様が表情として効いてくるでしょう。座面や背もたれに幅のある椅子だと、木目そのものが見どころになりますね。
アッシュは木目の出方がオークに近く、色はより素直で白っぽく見えやすい傾向があります。ナチュラル色の塗装をかけたとき、いちばん癖の出にくい木でしょう。
ラバーウッドは木目が細かく、3つのなかでは模様がもっともおとなしく見えやすい木です。色で主張させず、形で見せたい椅子に向いている木ですね。
3つの物差しに戻すと、樹種の名前から見当がつくのは木目の主張までになります。赤みは同じ樹種でも板によって差が出やすく、商品ページの写真を1点ずつ見るほうが早いでしょう。明るさは撮り方でも動くため、最後は実物で確かめることになります。木の名前は出発点であって、答えそのものではないのですね。
タモやブナという樹種名も流通していますが、この記事で扱うのは商品ページの材質欄に実際に記載のある樹種です。名前を覚えるより、手元の商品ページの材質欄を見るほうが早道でしょう。
床の色から決める|明るい床・濃い床でのチェアの見え方

床の色から決めるとは、部屋でいちばん面積の大きい色を基準にして、チェアの木の色を選ぶ手順です。
なぜ床が先なのか
部屋の色は、面積の順に決まっていきます。床、壁、テーブルの天板、そしてチェア。チェアはいちばん面積が小さく、いちばん後から決められる家具です。
しかも床は、あとから替えられません。替えられないものを基準にして、替えられるものを合わせる。順番としては自然でしょう。
もうひとつ、チェアには数の問題があります。4脚そろえれば脚は16本。1脚では気にならなかった床との色差が、16本ぶんの線になって床に並ぶでしょう。
明るい床のとき、チェアの木の色で何が起きるか
明るい床に明るい木のチェアを置くと、境目がぼやけます。脚の輪郭が床に溶けて、椅子が軽く見えてくるかもしれません。
これは失敗ではありません。部屋は広く感じられるでしょう。ただし椅子の形も、いっしょに見えにくくなります。デザインで選んだ一脚なら、その形が消えてしまうということでもあるのです。
反対に、明るい床へ濃い木のチェアを置くと脚が線として立ちます。16本の線が床に並ぶ光景ですね。空間は引き締まり、そのぶん椅子の存在感は強く出るでしょう。
どちらを選ぶかは目的で決まります。部屋を広く見せたいなら溶かす。家具の形を見せたいなら立たせる。
溶かしたうえで形も見せたい、という欲張りな希望もあるでしょう。その場合は木目の主張が強い樹種を選ぶか、座面の色で輪郭をつくることになります。
濃い床のとき、チェアの木の色で何が起きるか
面積の小さいチェアでは、この差が別の働きをするでしょう。濃い床にナチュラル色のチェアを置くと、コントラストが強く出ます。椅子が明るく浮き上がり、床の重さのなかに抜けをつくります。
狭いダイニングでは、この抜けが効いてくるでしょう。床が濃いぶん、明るい椅子が視線の逃げ場になるからですね。
濃い床へ濃い木のチェアを合わせると、全体はまとまります。ただし日中の光が少ない部屋では、椅子が沈んで見えることがあるでしょう。朝の食卓がどことなく暗いとしたら、原因は照明ではなく床と椅子の色差かもしれません。
分かれ目は、部屋に入る光の量でしょう。
床の明るさは一つではない|幅木・ドア枠・時間帯で判断がぶれる
床の色を1つに決めようとすると、たいてい詰まります。床材と幅木、ドア枠、建具の色が違う家が多いためです。
基準にするのは、面積の大きい床材のほうになるでしょう。幅木やドア枠は面積が小さく、部屋の印象を決める力は弱いからですね。
ただし幅木やドア枠が濃い家では、話が少し変わります。濃い幅木は、床と壁の境目に一本の線を引きます。椅子の脚も床に立つ線ですから、脚の色をどちらへ寄せるかの材料になるのです。
もうひとつ、時間帯の問題があります。同じ床が、昼と夜とで違う明るさに見えるでしょう。昼の自然光で見た色と、夜の照明で見た色は別物ですね。迷ったら、暗いほうの見え方で決めておくといいでしょう。明るい側に合わせると、夜になって浮いて見えるかもしれません。
部屋全体の色をどう組むかは、また別の話になります。壁やラグ、照明まで含めた視点は、淡色インテリアのダイニング実例|グレージュ×木目で叶える上質な食卓にまとめています。
テーブルと同じ木にすべきか、あえて外すか
同じ木にするとは、テーブルとチェアの樹種と塗装の色をそろえることです。
そろえたつもりで、そろわないことがある
「テーブルがナチュラルだから、椅子もナチュラルで」。いちばん多い決め方ではないでしょうか。ところが届いてみると、色が違う。
理由は2つあります。ひとつはここまでに見たとおり、同じ色名でも樹種が違えば見え方が変わること。
もうひとつは時間です。木は、使ううちに少しずつ色が深くなっていく素材とされます。日の当たる側から、表情が変わっていくこともあるでしょう。今あるテーブルは、買った当時の色ではないのかもしれません。
そこへ新品の椅子が届きます。テーブルだけが落ち着いた色で、椅子だけが白く見えるでしょう。この食い違いは、色名を合わせただけでは防げません。
そろえるなら、色名ではなく明るさの段差で見る
判断を色名から外して、明るさの段差に置き換えます。テーブルより明るいか、暗いか、ほぼ同じか。この3択で考えてみてください。
ほぼ同じにすると、椅子をテーブルの下に入れたときに一体で見えます。ダイニングが1つの塊としてまとまり、静かな印象になりますね。
段差をつけると、椅子を引いたときに形が出ます。背もたれの曲がりや脚の細さが、テーブルの色から浮き上がって見えてくるでしょう。
どちらがいいかは暮らし方で分かれます。食事のあと椅子を入れっぱなしにする家なら前者。椅子を引いたまま、その場所で本を読んだり書きものをしたりする家なら後者でしょう。
あえて外すなら、どこで外すか
外すと決めたとき、外す場所は1か所で足ります。
木の色は近づけたまま、座面の色で外します。この方法なら木と木の関係は保ったまま、椅子の輪郭だけを立たせられます。くわしくは次の節で扱いますね。
木の色そのもので外すなら、椅子の側を軽くしておくと収まります。脚が細い、背もたれに抜けがある。そうした形の軽さが、色の差を受け止めてくれるからです。
テーブルの素材から見直したくなった方は、ダイニングテーブルの素材どれを選ぶ?職人が教える4素材の正直な評価をご覧ください。
張地の色との組み合わせ(生成り・ベージュ・グレージュ)
張地の色とは、座面と背もたれを覆う布や革の色です。木の色が決まれば、残る分岐はここだけになります。
木の色に寄せる(生成り・ベージュ)とどう見えるか
生成りやベージュのように木へ近い色を選ぶと、木と座面がつながって見えます。椅子が1つの塊になり、背景の側へまわります。
主役はテーブルの天板や床の木目のほうへ移っていくでしょう。木の質感を見せたい部屋なら、この寄せ方が効いてきますね。
【Mallow】ナチュラルアームチェアが、この組み合わせにあたります。天然木(アッシュ)にウレタン塗装、張地はポリエステル。カラーはベージュとライトグレーの2色です。幅56×奥行51.5×高さ72.5cm、床から座面までは44cm。36,850円で、生産国はベトナムと記載されています。
木の色から離す(濃い色・黒)とどう見えるか
座面を濃い色にすると、面が締まります。すると木のフレームの形が、輪郭として立ち上がってくるでしょう。
とくに変わるのは、上から見たときの印象です。ダイニングを吹き抜けやキッチンから見下ろす間取りでは、座面の色がそのまま目に入る面積になりますね。
【KT】アームチェア【ナチュラル】が、離す側の例です。木部はアッシュ材、塗装はウレタン塗装のナチュラル色、座部は合成皮革のブラック。W590×D550×H740で22,440円になります。明るい木と黒い座面という組み合わせですね。
寄せるでも離すでもない中間に、グレージュがあります。灰色とベージュの中間の色で、木に寄せすぎず離しすぎない位置に置ける選択肢。決めかねているなら、この帯から探す手もあるでしょう。
河口家具製作所のナチュラル色のダイニングチェア
ナチュラル色のダイニングチェアとは、木部にウレタン塗装のナチュラル色を用いた木製のイスです。ここまでの判断軸に対応する3点を、商品ページの記載どおりに並べます。
- 【KT】アームチェア【ナチュラル】。木部はアッシュ材、塗装はウレタン塗装(ナチュラル色)、座部は合成皮革(ブラック)。W590×D550×H740mm(幅59×奥行55×高さ74cm)。22,440円。生産国はベトナム、企画は日本(河口家具製作所)と記載されています。木の色と座面の色を離した一脚です
- 【Mallow】ナチュラルアームチェア【ベージュ/ライトグレー】。天然木(アッシュ)にウレタン塗装、張地はポリエステル。幅56×奥行51.5×高さ72.5cm、床から座面まで44cm。重量6.5kg、耐荷重80kg、完成品。36,850円。生産国はベトナム。木の色へ張地を寄せた一脚です
- スツールチェア【ナチュラル/ブラウン】。天然木(オーク)にウレタン塗装。カラーはナチュラルとブラウン。幅42.5×奥行36×高さ43.5cm。耐荷重80kg、完成品。25,850円。生産国はベトナム。形も寸法も同じまま木の色だけが2つあり、色の違いだけを見比べられます
河口家具製作所は1959年の創業から、福岡県大川市で家具づくりに携わってきました。上の3点は、商品ページの生産国の記載がいずれもベトナムです。このうち【KT】アームチェア【ナチュラル】には「生産国/企画 ベトナム/日本(河口家具製作所)」と、企画が日本であることも併記されています。
木の色を横に並べて見比べたい方は、河口家具製作所オンラインショップのダイニングチェア一覧をご覧ください。38点が並んでいます。リビング用の一脚も含めて見たい場合は、河口家具製作所オンラインショップのチェア一覧へ。全部で52点になります。
色ではなく座り心地から選び直したくなったときに参考になるのが、座りやすいダイニングチェアのおすすめ5選!プロが教える選び方もです。
よくある質問
「ナチュラル」と書かれたチェアは、どれも同じ色ですか?
同じではありません。ナチュラルは塗装の色名であって、樹種の名前ではないためです。河口家具製作所のチェアにも、アッシュ材のものとオーク材のものがあり、木目の出方が変わってきます。商品ページの材質欄で樹種を確かめるのが確実でしょう。
床が濃い色でも、ナチュラル色のチェアは合いますか?
合います。濃い床に明るい椅子を置くとコントラストが強く出て、椅子が浮き上がって見えるからです。狭いダイニングでは、この明るさが視線の抜けになってくれます。部屋全体を落ち着かせたい場合は、床に近い色の木を選ぶほうがまとまるでしょう。
ダイニングチェアの木の色は、テーブルとそろえたほうがいいですか?
そろえなくてもかまいません。判断しやすいのは、色名をそろえることではなく、テーブルより明るいか暗いかほぼ同じかの3択で考える方法です。椅子を入れっぱなしにする家ならほぼ同じに、引いて使う家なら段差をつけると、それぞれの見え方が生きてくるでしょう。
ナチュラル色のチェアに合わせる張地は、何色が選びやすいですか?
生成りやベージュのように木へ近い色を選ぶと、椅子が1つの塊としてまとまります。濃い色や黒を選ぶと座面が締まり、木のフレームの形が輪郭として出るでしょう。中間に置きたい場合は、グレージュという選択肢もありますね。
河口家具製作所のナチュラル色のダイニングチェアには、どんな樹種が使われていますか?
商品ページの記載で確認できるのは、アッシュとオークです。【KT】アームチェア【ナチュラル】と【Mallow】ナチュラルアームチェアはアッシュ材。スツールチェア【ナチュラル/ブラウン】は天然木(オーク)と書かれています。タモやブナと記載された商品は、イスの売り場52点にはありません(2026年8月時点)。
まとめ|色名ではなく、床から決める
決める順番を振り返ります。
- 床の明るさを見る。基準は面積の大きい床材。迷ったら暗いほうの見え方で決める
- 溶かすか、立たせるかを決める。明るい床に明るい木は溶け、濃い床に明るい木は立つ
- テーブルとの段差を決める。明るいか、暗いか、ほぼ同じか
- 張地の色を、木に寄せるか離すかで決める
「ナチュラル」という色名は、この4つのどれにも答えてくれません。答えを持っているのは、自分の家の床と、今そこにあるテーブルのほうですね。
朝の光が入る時間に、床の上へ手を置いてみてください。手の甲に落ちる光の色。その明るさが、これから選ぶ一脚の出発点になります。
河口家具製作所について
- 公式サイト:kawaguchikagu.jp
- オンラインショップ:kawaguchikagu-online.com
- バーチャルショールーム:バーチャルショールームを見る
- Instagram:@kawaguchikagu
